最終話:うちの社長は、フリーター?

『うちの社長は、フリーター?』

吉本興業にいる場所がなくなったわたしは、仕方ないからもう一回、会社を作ることにした。部下の今川くんが、「僕は大谷さんに付いて行きます」と、言ってくれた。その話をしたところ、吉本興業を辞めた木村政雄さんが、「じゃあ、僕が、100万出してやる」と、ポンと100万出資してくれた。その話をしたら、「わたしも」と、リーダーズカレッジの卒業生の小川ゆかちゃんとおおぞの千恵子さんが100万ずつ出してくれた。

ある日、コーチ仲間の野村證券の根本くんからメールが来た。

「かっこいい社長を紹介してあげる」

そして、出会ったのが、島田守だった。彼は、当時、年収5000万のコンサルタントをしていたけれど、「コンサルタントよりも、もっと、巻き込まれる仕事をしたい」と、自分の仕事を減らして、新しい会社を作ろうとしていた。「ほな、混ぜたげる」と、彼にも100万円出資してもらった。会社の名前は、「志」のある人を作る。ということで「志縁塾」となった。そんなある日、島田くんの紹介で出会ったのが木村元だった。


木村元は、京都大学の学生で、21歳でアメリカから輸入された教育カリキュラムを販売する会社を立ち上げたもののうまく行かずに悩んでいた。しかも、学校にも行かずにフリーター状態。おもしろかったのは、年間何百冊とビジネス書を読んで、学生なのにいろんな研修に参加していた。マネジメント知識やビジネス知識やマーケティングの知識までそのへんの大手企業の社長や重役より抱負。


「何で、会社を立ち上げたの?」と、聞くと、「とりあえず、自分の知識が通用するかどうかを確かめたくて、社長をやってみたかったから」という返事。「なら、うちの社長やったら?」と、いうことで、志縁塾の社長は木村元になった。


そんな会社なのに、「おもしろそうだから、株主にさせてよ」と、言ってくれる人が、またまた出てきて、今では、27人が100万ずつ出して作った会社になった。お客さんも、地方自治体に企業に法人会、商工会、商工会議所と、いつのまにか100社を超えた。そして、ついに、みんなの夢だった、セミナールーム併設の東京オフィスが、東京駅からも歩ける距離のところにオープンすることになった。


コンセプトは、「ふらりとセミナー」。カップルでも一人でも、「気分転換したいなあ」と思った時に気軽に来て楽しく学べる場所。そして、講師同士が、競争して腕を磨いて、成長できる場所。


木村元は、この春、ちゃんと卒業をめざして大学に戻る。けれど、プロデューサーとして、講師育成、研修作りで関わってくれる。


これからも、「研修は究極のエンターテイメント!」というマインドを忘れずに、日本を元気にするために研修をしていきたい。これで、このお話は終わりです。でも、これは本番の幕開け、これからの志縁塾もよろしくお願いします。


                             大谷由里子