元々、彼らの会社と、わたしの会社は別々だった。だけど、「どうせいつも一緒だし」ということで、2社を合併させて、わたしが、社長、立田くんが副社長になって、「もっと、もっと稼ごうよ!」と、仕事に会社に夢中だった。立田くんと、石関くんは、「大谷さんのステキなとこは、人脈をいっぱい持ってるとこだから、僕らに人脈をくれよ。そしたら俺たちがお金に変えるから」と、言った。そして、気がついた時には、取引先も130社を超えて、大阪中の流通のイベントは一通りさせてもらえるくらいになっていた。
わたしは、飲んで、遊んでても仕事がやってきて、楽しかった。だけど、仕事をこなさなければならない彼らに疲れが出てきた。しかも、社員が次々と辞めて行ったりで入れ替わる。そのたびに立田くんたちの負担が増えた。ある日、二人がきれた。
「大谷さんは、いいけど、俺ら損やんか!?」
もう、大喧嘩だった。言いたいことのぶつかり合い。でも、その時に彼らの気持ちも痛いほど分かった。それから、いろんなことを話し合った。みんな、いろんなことを我慢し合っていたことも分かった。そして、おもしろいことにそれがきっかけで、納得して、またみんな前向きに働くようになった。小さな不満でも解決して行くことの大切さを思い知らされた。
ところが、ある日、わたしは、ふと気がついた。「あれ、わたしがいなくても、いいかもしれない」。試しに3日間、無断欠勤をしてみた。何と、誰もわたしがいないことを気づいてくれなかった。その瞬間、わたしは、「この会社でのわたしの役割って、終わったのかもしれない」そう思った。
つづく