第1話:売上の95%が飛んでいった、阪神淡路大震災!」

『売上の95%が飛んでいった、阪神淡路大震災!』


 10年前の1月17日の阪神淡路大震災。27歳でベンチャー企業を立ち上げわたしは、あの日まで何も考えずに毎日楽しく過ごしていた。たくさんの社長に可愛がってもらってそこそこ小金も持っていて、プラダもブルガリも大好きだった。


 当然のことながら震災後はイベントどころではない。イベントを中心とする企画制作を業務とするわたしの会社はいきなり95%の売上を失くした。売上の95%を失くしても社員に給料を払わなければならない。事務所の家賃もコピー機のリースも社会保険の支払いも待ってくれない。その時のわたしはなすすべもなかった。

 とにかく現金が欲しい!「ソープランドで働くしかないかなぁ・・・」とつぶやくいたわたしに仲間はこう言った。「大谷さんが、金払うんですか?」なんでこんな時までボケとつっ込みせなあかんねん!?でも、笑ったら少し心が軽くなった。


 当時、我が社のお客さんの8割は神戸だった。とにかくお客さんの会社がどうなっているのかを知るために神戸に行くことにした。それまでJRに乗ると大阪から三ノ宮まで約30分。なのに阪急の西宮北口から3時間歩いてもつかない。「この街どうなるんだろう?」「わたしの会社どうなるんだろう?」ひたすらそんなことばかり考えていた。


 本当に嬉しかったのは神戸のお客さんが自分たちも大変なのにわたしを笑わせてくれて励ましてくれたこと。それだけでなく、「しっかりしろよ。今すぐはムリでも一番最初にお前とこから仕事復活させてやる!」と言ってくれた。


 何よりも嬉しかったのは、大和銀行(現りそな銀行)のわが社の担当者は、「大谷さんの会社を僕が救います」と売り上げのない我が社がちゃんとお金を借りれるようにしてくれた。会社は何とか一息つけたものの、人も町も一瞬にして無くなることがある。何かすごくむなしくなった。


 そして、私はその頃から生きて行く意味、命の使い方、まさに「使命」などという言葉と向かい合うようになった。


つづく

第2話「人生を変えた出会いサイト」